より多くの株主さまに株主総会への出席機会を。バーチャルオンリーで日英同時配信を実施
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 様
- 企業名
- コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社
- 企業概要
- 2017年4月1日にコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの経営統合により誕生。販売数量は日本のコカ・コーラ社製品の販売数量の約9割を占め、売上高は世界に225以上あるコカ・コーラボトラーの中でアジア最大級、世界でも有数の規模を誇る。(2022年12月現在)
- 業種
- 食料品
- 株主数
- 51,500名(2023年12月末時点)
- 決算期
- 12月
- 上場市場
- 東京証券取引所 プライム市場
- 証券コード
- 2579
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社が、ICJのVSMプラットフォームを活用し、2024年3月26日にバーチャルオンリー株主総会を開催しました。今回は、執行役員 最高法務責任者の宇佐川智一さまと、法務本部 コーポレートガバナンス推進部 コーポレートガバナンス推進課長の高橋恵子さまに、バーチャルオンリー株主総会を開催した背景や感想、今後の展望などを伺いました(以下敬称略)。
ヒト・モノ・カネの効率化により削減したリソースを、株主さまに還元したい
2024年3月総会でバーチャルオンリー株主総会を導入した背景を教えてください。
宇佐川:既存の枠を超えて、より多くの株主さまに株主総会にご出席いただきたいと考えたためです。そのためには、テクノロジーを活用し効率化することが最も有効だと考えました。
実は新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、社長から、一人でも多くの株主さまに安全に株主総会に出席いただけるよう、バーチャルオンリー株主総会を検討してほしいとの意向を受けていました。ちょうど社内検討していたタイミングでICJから提案があり、通信障害の心配がないことや、サポート体制が充実していることなど、内容として問題ないと判断し、開催に至りました。
テクノロジーを活用することで、株主総会運営に関わるスタッフ(ヒト)、会場(モノ)、それらにかかるコスト(カネ)の効率化が可能になります。それにより削減できたリソースを活用し、株主さまにも還元することができます。株主総会に出席していただく株主さまとのコミュニケーションの観点でも、リソースの効率的な配分、株主さまへの還元という意味で非常に良い取り組みだと考えています。
当社はテクノロジーの有効活用による業務効率化を目指して取り組んでいます。バーチャルオンリー株主総会は、そうした取り組みにも資すると考えています。
世界40か国以上の国・地域で通信障害ゼロの「安心感」。日英同時配信含む豊富な実績が決め手に
バーチャルオンリー株主総会の開催に関して、貴社内でネガティブな反応や反対意見はありましたか。
高橋:当社は、BtoBビジネスだけでなく、BtoCのビジネスも展開しています。そのため、株主総会の会場内で製品の展示を見るのを楽しみにしている株主さまも多い会社です。バーチャルオンリー株主総会にすることで、そうしたコカ・コーラファンの株主さまとの交流が減ってしまうのではないかという心配の声が、事務局メンバーからあがりました。
一方、これまでのリアル株主総会では、会場のある東京近郊に住む株主さましか出席できないというデメリットもありました。より多くの株主さまに平等なかたちで株主総会の参加機会をご提供するという意味では、バーチャルオンリー株主総会が良いと考え、開催を決断しました。
弊社からの初回のご提案時には、業者選定のポイントとして「安心感」を重視されるとのことでしたが、具体的にICJのどのようなポイントを評価いただけたのでしょうか。
高橋:バーチャルオンリー株主総会の豊富な実績が「安心感」につながりました。バーチャルオンリー株主総会で最も心配だったのは通信障害の発生リスクです。ICJからの説明で、これまでに支援したバーチャル株主総会で通信障害が発生した事例は0件であることを知りました。
また、改正産業競争力強化法に準拠した通信障害対策や招集通知の記載方法についても丁寧にサポートをしてもらえたことが心強かったです。
特に、VSMプラットフォームのシステムは日本を含め世界40か国以上の国と地域で利用されているので、通信障害の発生事例が0件という点も安心感につながりました。
VSMプラットフォームを利用する決め手になったのはどのような点でしたか。
高橋:当社は議長が外国籍のため、日英同時配信によるバーチャルオンリー株主総会を検討していました。そのなかで、安定的な実績を重視しました。特に日本語と英語のライブ配信時のタイムラグ、同時通訳を入れた場合のプロセスや総会当日のトラブルについて懸念を持っていたため、日英同時ライブ配信の実績の有無が大きな決め手になりました。
シンプルな操作感かつ準備から当日までの手厚いサポート体制
VSMプラットフォームについて、サイトを見た印象や導入後の利用イメージはいかがでしたか。
高橋:ITにあまり強くない私にとっても、分かりやすくて使いやすい、非常にシンプルなシステムでした。日英併記もとてもクリアで大変使いやすいと感じました。英訳も、すべてが自動翻訳ではなく、当社指定の英語を設定できたため、外国人の株主さまに対しても自然な英語で分かりやすいご案内ができたと思います。実際にご出席いただいた株主さまからも「操作が分からなかった」という意見はなかったと記憶しています。
今回は初めてのバーチャルオンリー株主総会だったこともあり、私たち自身も不慣れで、総会当日の現場のサポートもお願いしました。リハーサルに何度もお付き合いいただきましたが、その点についても感謝しています。
バーチャルオンリー株主総会の開催に向けた不安や課題はありましたか。それらに対するICJのサポート体制についてもお聞かせください。
宇佐川:経営陣としては、当初から前向きな姿勢だったため、不安は特にありませんでした。ただ、実際に高橋をはじめ事務局メンバーが準備を進めていく中で個別の悩みはあったと思います。
特に、通信障害のリスクや、バーチャルオンリー株主総会では株主さまの顔が見えないため、目的事項に関連しないご意見もたくさん来るのではないかと心配していました。また、質問がたくさん来て答えきれないのではないかなど、実務上の不安も聞いていました。
高橋:質問について、バーチャルオンリー株主総会では、株主さまには文字に書いてお送りいただくので、ポイントが絞られ、口頭質問のリアル株主総会と比較しても質問意図が明確になり、事務局も質疑応答の整理がしやすくなるとICJから聞きました。また、当日の質疑応答や動議を想定した操作方法やオペレーションについてもしっかりとしたレクチャーがあり、安心して株主総会当日に臨むことができました。
総会開催日の直前になって、急遽追加リハーサルをお願いしましたが、丁寧に対応いただきました。初めてのバーチャルオンリー株主総会で想像力が及ばず準備不足があることに気づくことができ、追加リハーサルをしておいてよかったですし、その際のサポートは非常にありがたかったです。また、細かいところでは、招集通知の校了に向けて、法令に則した株主総会運営の観点から、記載事項や表現のアドバイスをいただけた点も大変心強かったです。
居住地にかかわらず、多くの株主さまが出席。株主満足度の向上と運営・コストの効率化を両立
バーチャルオンリー株主総会を開催して実際に得られた効果について、具体的に教えてください。
宇佐川:質問内容や質問数、出席株主数など、準備段階ではさまざまな不安がありましたが、最終的には株主さまと充実したコミュニケーションが図れたという印象が強いです。実際、総会終了後のアンケートでは「これまで遠方で出席できなかったが、今回初めて地方からも出席でき有意義だった」といった声が数多くあり、非常に良い評価をいただきました。開催して良かったと思っています。
高橋:株主さまの所在地にかかわらず、皆さまに平等なかたちで株主総会に出席していただけたことが大きな効果だったと思っています。今回は当社としても初めての経験でしたが、米国の株主総会のあり方や日本社会の日常生活のあり方からしても、今後バーチャルオンリー株主総会は確実に増えていくと思います。将来的には、日本国内においてもバーチャルオンリー株主総会がスタンダードな開催形式になっていくと信じているので、今回バーチャルオンリー株主総会に踏み切れたことは、当社にとって、とても良かったと感じています。
バーチャルオンリー株主総会にすることで、裏方が動きやすくなり、スタッフや役員の心理的負担が緩和されました。より充実した総会運営を実現できたことは、大きなメリットと考えています。リアル株主総会とは異なり、さまざまな指示を送ることができ、それがきちんと議長にも届いていた印象です。
総会後の株主アンケートには、ポジティブな意見や感想が数多く寄せられましたが、社内の反応はいかがでしたか。
高橋:株主さまからいただいたポジティブなご意見・ご感想については社内でも非常に納得感があるものでした。より多くの方にご出席いただけるというバーチャルオンリー株主総会の良さを、株主さまにも実感していただけたとわかり、来年もバーチャルオンリー株主総会を継続する予定です。
すでに日常生活の中でも買い物や宿泊予約など、さまざまな場面でオンラインが広く普及してきています。こうした流れの中で、バーチャルオンリー株主総会が徐々に当たり前の社会になっていくのではないかと想像しています。
費用感やコストメリットについてはいかがでしたか。
高橋:バーチャルオンリー株主総会の開催決定に伴って、もともと予約していた大きな会場から少しコンパクトな会場に変更しましたが、それだけでも十分なコスト削減になりました。また、最寄り駅から会場までの案内係や受付等の役割を担うサポートスタッフも大幅に削減でき、さまざまな点でコストメリットを実感できました。
来年の撮影配信会場はオフィスまたはその近郊を考えており、役員の移動時間なども削減できるため、さらなる効率化を期待しています。準備の面でも、事務局の作業等をもう少しコンパクトにできると考えています。バーチャルオンリー株主総会にすることで、当社のコストメリットだけでなく、株主さまにとっても会場までの移動時間や交通費の削減につながったのではないかと思います。
株主総会の本質は、株主さまとのコミュニケーション。さらに効率的な運用を目指し、株主さまにより多くを還元したい
来年の株主総会に向けての課題をお聞かせください。
宇佐川:今回は、初めての試みだったため手探りで進めましたが、次回以降は、機材や人員配置はもちろん、予算面も含めてより効率的な運営を実現したいと思っています。
次回はよりスマートなかたちで運営したいと考えており、もともと目指していた、ヒト・モノ・時間の効率化をもっと実現できると感じているため、より良い総会運営に向けて、改善できる部分について工夫していきたいと考えています。
高橋:今回は当社として初めての試みであったことから、念のため多めの人員を配置していました。次回はその点を改善し、よりコンパクトに開催したいと考えています。欧米の会社の株主総会はかなりコンパクトな人数で運営されているため、これを参考にして、当社のスタッフも含めて、そうした課題を解消していきたいです。
準備段階から当日までサポートをさせていただくなかで、事務局の皆さまのチームワークの良さを感じました。ICJとして、さらにご協力できる場面があるようでしたら、お聞かせください。
宇佐川:従来の株主総会では、株主さまとのコミュニケーションに関わる本質的な部分以外に会社のリソースをかなり割いていたように思います。例えば、先ほども出た会場外の案内、会場内スタッフ、役員や当社スタッフの移動時間、それらに対する費用、これらはすべて効率化できると考えています。また、株主さまにも会場まで移動するご負担をおかけしていたと感じています。これらはVSMプラットフォームなどの活用により、さらなる効率化を実現できると期待しています。これは企業と株主さまの双方にとって大きなメリットであり、株主さまに対する還元としては、非常に良い方法だと思っています。オペレーションの面ではICJとの連携をより緊密にしながら、当社として、もっと株主さまとのコミュニケーションに集中できるような体制を構築していきたいと考えています。
最後に、バーチャルオンリー株主総会の開催を検討している企業の方々にメッセージをお願いします。
宇佐川:バーチャルオンリー株主総会では、従来の株主総会よりも、より充実した株主さまとのコミュニケーションを図ることができると思います。株主総会の本質は、株主さまとのコミュニケーションだと思いますので、ぜひその本質を追求することにフォーカスしていただき、バーチャルオンリー株主総会を開催する企業が増えていけば嬉しく思います。また、多くの企業が開催することで事例が増え、より良いバーチャルオンリー株主総会にしていけるとも思っています。
高橋:2024年6月に他社さまのリアル株主総会に参加しましたが、その日はとても暑かったこともあり、会場までの移動について少し負担に感じました。また、開催時間が2時間近い株主総会だったため、仕事の合間に参加し、途中退出される株主さまも大変多かったと記憶しています。こうした経験からも、これからは開催側と参加側双方の負担を減らすという意味で、バーチャルオンリー株主総会が当たり前の時代になっていくと感じました。
通信障害のリスクを含め、はじめは不安なこともあるかと思いますが、ICJはVSMプラットフォームの信頼性、安定性に加え、ソフト面のサポート体制も充実しているので、初めてのバーチャルオンリー株主総会でも安心してお任せできます。また、今後実績が増えていくことで、通信障害のリスクもさらに少なくなっていくと思っています。まだバーチャルオンリー株主総会に踏み切れていない企業にも、ぜひおすすめしたいです。
本日は貴重な話をお聞かせくださりありがとうございました。
(取材日:2024年8月)
他の発行会社の導入事例を見る
導入事例一覧を見る