導入事例
バーチャルオンリー型

リアル総会の3分の1の人員で効率的に運営。株主の出席機会の拡充と運営のスリム化を両立したバーチャルオンリー

株式会社キャリア 様

写真左:石川 元啓さま(管理本部 コーポレートディビジョン 執行役員)
写真右:渡邊 佳寿恵さま(総務グループ 総務課 チーフ)
企業名
株式会社キャリア
企業概要
株式会社キャリアは、シニアワーク事業とシニアケア事業を中心に、人材派遣や紹介、求人コンサルティングなどを展開。ビルメンテナンスやロジスティクス分野に携わるアクティブシニア、医療・福祉分野の有資格者の活躍を支援し、少子高齢化社会の課題解決に貢献している。
業種
サービス業
株主数
2,874名(2024年9月30日時点)
決算期
9月
上場市場
東京証券取引所 グロース市場
証券コード
6198

運営に必要な人員を従来の3分の1に効率化。株式会社キャリアは、バーチャルオンリーが開催可能となった翌年の2022年12月から、ICJのVSMプラットフォームを利用し、いち早くバーチャルオンリーを開催。今回は大臣確認申請を含め、株主の出席機会の拡充と大幅な運営効率化を両立させたその舞台裏を、事務局として運営を担当された石川 元啓さまと渡邊 佳寿恵さまのお二人に伺いました。(以下敬称略)。

改正産業競争力強化法の大臣確認という最初の壁。それでも早期導入に踏み切った理由

バーチャル株主総会を検討された背景を教えてください。

石川:当社には、本社所在地の東京近郊に限らず全国各地に株主がいらっしゃいます。中には毎年、遠方から株主総会へ足をお運びいただき、積極的に質問してくださる株主もいました。遠方にお住まいの株主の移動負担の軽減や、これまで出席したくてもできなかった株主に対する出席機会の多様化については、以前から社内で検討していたものの、なかなか具体的な取り組みができずにいました。

そんな中、改正産業競争力強化法の施行により、2021年6月から場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー)が開催可能になったことを受けて、株主の皆さまの公平かつ多様な出席機会の提供を目的として、バーチャルオンリーの開催を決定しました。経営陣からも「できるかぎり早急にバーチャルオンリーを開催したい」との意向があったため、その期待に応えるべく、急ピッチで準備を開始しました。

異例とも言えるスピードで準備を進められたのですね。具体的にどのようなステップを踏まれたのでしょうか?

石川:一般的には、経済産業省令・法務省令で定める省令要件を満たすことについて経済産業省及び法務省の大臣確認を経てから、バーチャルオンリーを開催可能とする定款変更を実施するという流れですが、当社は改正産業競争力強化法の施行直後のタイミングから準備を始めたため、参考にできる他社事例もほとんどありませんでした。そのため、まずは2021年12月総会で先に大臣確認の条件付き定款変更を実施し、その後、大臣確認を完了させることで定款の効力が発揮されるという、少し特殊な流れで準備を進めました。当時の総会開催日から逆算すると、大臣確認申請のスケジュールは非常にタイトで、もしも承認が間に合わなければ、バーチャルオンリーの開催が1年延期になる可能性もありましたので、大きなプレッシャーを感じていました。

その中で、大臣確認申請からサポートしてくださる企業を探していたところ、みずほ信託銀行からICJをご紹介いただきました。その際には、承認済みの他社事例がまだ少ない中、省令要件として審査される「通信障害対策」や「デジタルデバイド対策」などについて、ICJがリアルタイムで情報を収集し、当社にとって最適なアドバイスとサポートをしていただけたことが印象に残っています。ICJに大臣確認申請のサポートをしていただいたおかげで何とか乗り切ることが出来ましたが、当時のタイトなスケジュールの中、自分たちだけで一から準備していたら、とても対応しきれなかったと思います。無事に承認されたときには、「ようやくスタート地点に立てた」という気持ちでした。
※オプション「大臣確認申請サポート」のお申し込みが必要となります

石川 元啓さま(管理本部 コーポレートディビジョン 執行役員)

不安を払拭したのは、世界で通信障害ゼロの安心感と撮影配信会社との連携体制

バーチャルオンリーを開催するにあたり、不安なことはありましたか。

石川:「他社はトラブルなく開催できているのか」「通信障害は発生しないのか」「ライブ配信のタイムラグを考慮した運営はどのようにすればよいのか」など、あらゆる面で不安がありました。当社がバーチャルオンリーを導入したのは2022年12月総会からですが、当時はバーチャルオンリーを実施した企業が非常に少なく、インターネット上にも参考となる他社事例が見つからなかったんです。

特に心配だったのは、通信障害です。私も渡邊も、バーチャルオンリーの初年度は、総会当日の2週間前から満足に眠れない日が続くほど緊張していました。株主総会は、すべての上場会社にとって、一年に一度しかない非常に重要な場であり、失敗が許されないというプレッシャーも大きかったです。

渡邊:バーチャルオンリーの経験を積んだ現在でも、総会直前は緊張で眠れない日があります。総会が無事に終了するまでは終始気を張り続けているため、私も石川も、総会が終了したとたんに、安心と疲れからか発熱してしまうほどです。

石川:ただ、VSMプラットフォームは可用性が高く「世界40以上の国と地域で利用されている中でも、一度も通信障害の発生事例がない」こと。そして、「バックアップシステム(Zoomなどのビデオ会議システム)とも柔軟に連携が可能で、万が一通信障害が発生した場合にも問題なく議事進行が可能」とご案内をいただき安心しました。実際、大臣確認申請で求められる「通信の方法に係る障害に関する対策についての方針」の一つとして、VSMプラットフォームとバックアップシステム(Zoom)の連携を記載しています。

加えて、リハーサルと本番ではICJの担当者が会場で操作サポートを行ってくれるほか、システムの挙動や配信状況をリアルタイムで監視してくれるため、万が一通信障害が発生した際にも問題なく対応できるという心強い気持ちで総会当日を迎えることができています。

また、撮影配信は、バーチャルオンリーを開催する以前からお世話になっている企業に引き続きお願いしており、後からICJに加わっていただくかたちとなりました。付き合いのある撮影配信会社を継続して利用できるという点も、ICJを採用した理由の一つです。ICJには、初年度から撮影配信会社ともスムーズに連携を取っていただき、撮影配信まわりで確認事項が生じた際には、ICJにフォローしていただく場面もあり、とても心強かったです。

渡邊 佳寿恵さま(総務グループ 総務課 チーフ)

株主からシステム操作に関する問い合わせはゼロ。直感的な操作性と手厚いサポート体制を評価

VSMプラットフォームの操作性については、どのように感じていますか。

渡邊:VSMプラットフォームの操作はとてもシンプルで、デジタル機器の操作があまり得意ではない私でも直感的に扱うことができています。

石川:株主の皆さまにとっても、非常に操作しやすいシステムだと思います。過去3年間でも「配信が見られない」「質問ができない」といった照会はありませんし、株主からの質問が問題なく届いていることからも、操作に支障がないことがうかがえます。また、この3年間でVSMプラットフォームが常にアップデートし続けているという点も、ICJが信頼できるポイントの一つです。最新機能がリリースされるたびに丁寧にご案内いただけており、ユーザー目線でも使いやすいと感じる機能がどんどん増えています。

ICJのサポートで、特に印象に残っていることはありますか。

渡邊:VSMプラットフォームの操作は私が担当しているのですが、操作のタイミングを間違えることができない重要な役割なので、毎回とても緊張しています。ライブ配信には約20〜30秒ほどのタイムラグがあり、撮影配信会場では議長の生の声とライブ配信の声が両方聞こえてくるため、どちらに合わせて操作をすればいいのか、混乱してしまう場面もありました。そのような状況でも、ICJがシナリオやライブ配信のタイムラグに合わせて、適切に合図を出して操作をサポートしてくださるので、非常に助かりました。

石川:大臣確認に限らず、VSMプラットフォームのシステム提供以外にも積極的にサポートしていただける点がとてもありがたかったです。特に、いつ・どのような相談をしても、常に前向きな姿勢で対応してくださることが、何よりうれしいサポートでした。相談内容に問題がなければ「大丈夫ですよ」と即答してくださり、検討すべき論点が生じた場合には「このような方法なら対応できますよ」と、代替案を提示してくださいます。ICJには、国内初のバーチャルオンリー支援実績をはじめとした豊富な知見があるため、アドバイスも的確で、回答スピードも非常に速いです。バーチャルオンリーを間近に控えて焦りや不安を抱えている事務局にとって、ICJのサポート体制は非常に心強く、大きな信頼につながっています。

渡邊:いつも私たち事務局の目線に立って、わかりやすく説明してくださる点にも大変感謝しています。毎回ポジティブに対応してくださるので相談もしやすく、安心感があります。

バーチャルオンリーで「見えないコスト」の削減と、事務局の運営負担の軽減を実現

バーチャルオンリーの開催によって、どのような効果がありましたか。

石川:当社は、バーチャルオンリーを自社会議室で開催しているため、会場手配にかかるコストが大幅に削減されました。リアル総会のときは外部の貸会議室等を借りていたのですが、毎年3カ所ほど候補を挙げ、複数の役員と一緒に数日かけて下見を行っていました。多忙な役員のスケジュール調整や意見のとりまとめに多くの時間を要するため、それらの工数を時給換算すると、かなりの金額になっていたと思います。そうした作業が不要になっただけでも、事務局としては大きな負担軽減となり、コストダウンにもつながりました。

渡邊:総会当日の運営負担もかなり軽減したと感じます。リアル総会のときは、受付後の株主の案内、役員へのカンペ出し、質疑応答時の株主へのマイク渡しなど、一人でいくつもの役割を兼任しており、緊張感が漂う場面や慎重さを求められる場面も多かったです。バーチャルオンリー導入後は、撮影配信会場である本社会議室の一角で、VSMプラットフォームの操作を行うことだけに集中できるようになりました。リアル総会とは異なる、バーチャルオンリーならではの緊張感はあるものの、運営の負担は大きく軽減されたように感じます。

石川:渡邊の言うとおり、リアル総会では受付や案内係を含めて様々な役割があったため、10名程度の社員で事務局を運営していましたが、バーチャルオンリー3年目となる2024年12月総会では、私と渡邊を含めて3名で事務局を運営しました。ICJや弁護士の立ち会いはありますが、当社の規模であれば、リアル総会の3分の1の人数でもまったく問題なく総会運営ができています。このように、会場費用などの「見えるコスト」に加えて、役員のスケジュール調整を含めた運営人員の確保・手配など、「見えないコスト」の削減も実現できたため、やはりバーチャルオンリー導入のメリットは大きいと実感しています。

バーチャルオンリーの開催によって、株主総会の運営にどのような変化がありましたか。

石川:リアル総会に比べて、バーチャルオンリーでは株主からの質問がより深く具体的な内容になったと感じます。リアル総会は対面ということもあり、質問時に柔らかい表現をしてくださる株主が多く、時には質問ではなく「これからも期待しています、頑張ってください」といった応援メッセージをいただくこともあり、温かいお言葉に感激する一方で、どのように回答すべきか少し迷う場面もありました。しかし、バーチャルオンリー導入後は、株主にも対面特有の遠慮がなくなり、テキスト送信により質問内容が明確化されたことで、さらに質の高い質疑応答が実現できるようになったと実感しました。

これまでのリアル総会では、一部の社員しか株主総会に関与しないため、自社の株主総会でどのようなことをしているのか、あまりよく知らないという社員も多かったと思いますが、バーチャルオンリー導入後は、自社会議室で準備やリハーサルを行っているため、多くの社員の目に触れる機会が増えました。上場企業として、毎年入念な準備を経て株主総会を開催しているという姿勢が、社内にも伝わっていると嬉しく思います。さらに、社員向けに視聴用IDも発行しており、当日都合がつく社員はオンラインで株主総会を視聴することができるように、準備もしています。

また、バーチャルオンリー初年度は、議長も役員も非常に緊張しているようでしたが、現在は適度な緊張感をもって臨めているようです。バーチャルオンリーは、周囲に総会関係者しかおりませんので、画面の向こうにいらっしゃる株主一人ひとりへ向けて、伝えたいメッセージを丁寧に届けられています。

これまでの「信用」とこれからの「信頼」。VSMプラットフォームのさらなる活用で、よりよいバーチャルオンリーをめざしたい

株主エンゲージメント強化へ向けて、取り組みたいことはありますか。

石川:今後は、過去にリアル総会でも実施していた事前質問を再開できればと考えています。VSMプラットフォームには事前質問機能がありますが、バーチャルオンリーの導入当初は、初めて利用するシステムでスムーズに対応できるか不安もあったため、実施を見送っていました。現在は、事務局としてもバーチャルオンリーの運営に慣れ、自信がついたこともあり、今後は事前質問を通して、株主の皆さまから幅広いご意見・ご質問を受け付けたいと考えています。

渡邊:事前質問に加えて、総会終了後のアンケートの実施についても、段階的に検討していきたいと考えています。アンケート機能もVSMプラットフォームの基本機能として備わっているため、ご出席いただいた株主の皆さまがバーチャルオンリーをどのように感じていらっしゃるのか、直接ご意見をうかがうことができる場になるのではと思っています。いただいたお声をもとに、よりよいバーチャルオンリーを実現できるよう改善を続け、より多くの株主の皆さまにご出席いただけるよう取り組んでいきたいです。

最後に、バーチャル株主総会を検討されている企業の方々にメッセージをお願いします。

石川:日本では、バーチャル株主総会が徐々に広がりはじめているという段階のため、これまでの運営方法を変えることに不安や抵抗を感じる企業も少なくないのではと思います。当社の場合は、バーチャルオンリーを導入したことで、事務局の運営負担や工数が削減され、結果的に管理コストの面でも大きなメリットを実感できました。このように、「見えるコスト」に加えて「見えないコスト」の削減という観点から、バーチャル株主総会を検討されるのもよいかと思います。

また、初めてのバーチャルオンリーの場合は、導入までに一定の準備期間が必要となりますので、お早めにICJへ相談されることをおすすめします。特に、最初のハードルとなるのは大臣確認かと思いますが、ICJのサポートがあれば、初めての企業でも安心して準備を進められます。

シンプルで使いやすいVSMプラットフォームはもちろん、ICJのホスピタリティあふれるサポートもとても魅力的です。当社はICJに、これまでの「信用」とこれからの「信頼」を寄せており、他の企業の皆さまにも、自信を持っておすすめできます。

本日は貴重な話をお聞かせくださりありがとうございました。

(取材日:2025年4月)

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